緩やかに憂鬱

日常(病み気味),書評など

読書感想:眠れる虎

ロザムンド・ピルチャー「眠れる虎」を読んだ。図書館が本だけでも旅をしてみようーと粋な特集していたので手に取ってみた。ステイホームはもうたくさん。でもどこにも行けないしちょうどいいと思って。

イギリスに住む二十歳のセリーナ・ブルースは、生まれる前に父を戦争で失くし、 出生と同時に母を失くし、お金持ちのおばあ様と、乳母に育てられた。 おばあ様の死後、その全財産を管理していた弁護士のロドニーと結婚することになっていた。 結婚式を一か月後に控えたセリーナは、フィアンセのロドニーからある本をプレゼントされる。 それは、ジョージ・ダイヤーという作家が、スペインのある小さな島、 カラ・フェルテへ自ら操る船の旅でたどり着き、現地の人と親しくなり、 ボートハウスを改造して住み、独自のライフスタイルについて綴ったものだった。 本の裏表紙に載ったその作家の顔写真に、セリーナは衝撃を受けた。 というのもその顔は、会ったこともない、写真で見るだけであった死んだ父 (行方不明、推定戦死)の顔にそっくりだったのだから。 セリーナはその顔写真を頼りに、スペインへと赴いた。 第二次大戦後間もなく、ロンドンとスペインの小さな島を舞台に、 心の傷を乗り越えて、不器用だが自分らしく生きようとする人々の姿が描かれている。 厳しいしきたりのもとにロンドンでおばあ様と暮らしてきた孤独な娘セリーナが、 父を求めて出向いた、遠くスペインの小さな島で、明るい太陽の日差しのもと、 色彩の豊かな暮らしを体験していく……。 読者も、まるで自分のことのように自由でおおらかなスペインでの暮らしを追体験できるような、ピルチャー独自の作風に、自然と、明るく開放的な太陽のもとへと誘われる。 恋あり、涙あり、笑いあり、ピルチャー43歳の時に書かれた作品が、 長い時を経て、今ベールを脱ぐ、本邦初公開ピルチャー珠玉の一作です。(Amazonより)

あらすじ長い!けどこの文にすべてつまってる。

両親がおらず祖母に育てられ孤独な幼少期をすごした20歳のセリーナが旅を通じて自分の殻をやぶって自由奔放にすごすようになる,みたいなモンゴメリの「青い城」のもうちょっと溌剌バージョンといった具合。

スペインで孤独(?)にくらすちょっとニヒルな作家というのは魅力的なんでしょうかね?安定志向の私としてはヒーローのジョージよりかはつまらない婚約者のほうがいいのではと思ったけども。

まったく話としては関係ないことなのだが,主人公のセリーナはお嬢様育ちなのでお金に頓着しないところがあって,タクシーの運賃を他人に払わせているのだがそのことにあまり気にした様子がなく,私のような庶民としては一刻も早く返してあげてということが気になってたまらなかった。そういう細かいどうでもいいことが気になったくらいなので,面白いかそうではないかと言われると普通。結構主人公が無神経なのであんまり好きになれなかったというのもある。

 

ほかのピルチャー作品はどんなものやと調べてみたら結構面白そうなので機会があれば読んでみようと思う。

 

眠れる虎

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