緩やかに憂鬱

日常(病み気味),書評など

眠れない夜

夏休みになってから、眠れなくなってしまった。

 

大学に通っているときの就寝時間より一時間ぐらい遅くに電気を消して、ベッドにもぐって目を閉じる。iPhoneでお気に入りのスローテンポの音楽を聴く。

それから、いろいろと考える。後期のこと、友達のこと、今度の旅行のこと、バイトのこと、家族のこと、こうなったらいいなあと思うロマンチックな妄想、飼っている猫のこととか。

普通だったら眠たくなるところだが、最近はまったく眠たいと感じなくなった。むしろ考えれば考えるほど目は冴えていく。

 

そうすると思考はいじわるなので、あまり思い出したくないほうへすすむ。不登校だった中学時代を回想してしまう。

中学生の私は、永遠に中学生でいられたらいいと思っていた。母親も父親もわかいままで、祖父母も生きていて、私は守られ、嫌なことはしなくて済む世界にずっと住んでいたかったのである。将来が見えない閉塞感に息が詰まりそうになって毎晩泣いていたくせに、中学時代がずっと続けばよくそれが幸せなのだと思っていた。

 

あのころの私と大学二年生の私は精神的には大きく違う(と信じている)のだが。

しかし、つめたい風が窓から入ってくることや、眠れなくていろいろな思索にふけっていること、その時に聞いている音楽は変わっていないので、ふと自分が中学生に戻ったような感覚にとらわれてしまう。

マドレーヌを紅茶に浸したときに過去の記憶が鮮明によみがえるように、涼しい夏の夜にベッドに横たわっていると、かわいそうな私を思い出してしまう。

 

大学二年生になっても、大学を休んだことは一回もなくても、実生活はちゃんと送れていても、友達がたくさんいても、不登校だった時からもうずいぶん時間は過ぎたのに、いまだに私は「不登校の私」にとらわれている。